今回のツアーの目的地は、「地球上で最も重要な恐竜フィールド」と表現できる、北米の自然大国カナダにあるアルバータ州です。

恐竜の活躍した約2億5100万年前から約6600万年前までの地質時代を中世代といい、その中には三畳紀・ジュラ紀・白亜紀と3つの年代があります。恐竜が最も大型化し、栄えたのが最後の白亜紀です。

カナダ・アルバータ州にはこの白亜紀の地層が、氷河による侵食などの影響で、広範囲に露出していることから、世界最大級の恐竜化石層と言われています。

ここではティラノサウルスやトリケラトプスなど世界的な恐竜の発見が数多くおこなわれ、世界的な恐竜の約5%がここから発掘されました。

今回の体験では、世界的な発掘現場であり、世界遺産にも登録されている「ダイナソー州立公園」を訪れます。

現地では、「ダイナソー州立公園」の中でも特に化石の多い保護エリアに入れるガイドツアーに参加して、貴重な白亜紀の地層と、実際の恐竜の化石を発見します。

通常、恐竜の化石は大規模な発掘をしてやっと発見できる希少なもの、という印象ですが、「ダイナソー州立公園」では文字通り恐竜の化石がゴロゴロしています。

保護エリアの中では普通に多数の化石が地面に表出しているので、「発掘」ではなく「発見」の体験になります。世界最大級の恐竜化石層のスケールを、ぜひ現地で体感してみてください。

世界最大級の発掘現場と並んで、今回のツアーの目玉になるのが、こちらも世界最大級の恐竜博物館「ロイヤル・ティレル古生物学博物館」への訪問です。

この博物館は世界三大恐竜博物館に数えられており、恐竜以前の古生代の時代から、大迫力の恐竜展示を経て、現在の生物への進化の過程を、世界レベルの展示技術で伝えてくれます。

図鑑や通常の博物館では感じることのできない恐竜化石標本の圧倒的なスケールを、現地ガイドと同行する先生のライブ解説で、めいっぱい楽しみます。

今回のツアーに同行する山本智（さとし）先生は、骨格のプロフェッショナルです。専門はクジラやイルカなどの鯨類ですが、生物の骨格全般に詳しく、ギフテでも骨格標本体験で大人気の先生です。

恐竜の専門家ではなく、骨格の専門家の先生が同行するのは意外かも知れませんが、 遥か昔に生きていた恐竜は、その情報を化石として残った骨の形や構造からしか知ることができず、恐竜を理解するためには、今生きている生物との比較から考察していくことが必要です。

そのため、骨格を残す化石標本の形に注目した形態学的な研究は恐竜研究の中心的な研究です。

骨格を中心に、その周りの筋肉、神経なども扱う解剖学を専門としている、山本先生の解説は、恐竜の解説だけでは得られない、標本から考えられる新しい恐竜の見方を知る機会となり、恐竜好きの親子の好奇心を大いに刺激すると思います。

尚、山本先生がメンバーとして活動しているさわれるミュージアムThink Squareでは、海棲爬虫類や恐竜を含む化石標本も多く所蔵しており、山本先生もクリーニングをはじめ、調査、研究を進めると同時に、国内の恐竜研究者との交流も持ち、恐竜の研究動向について常に触れています。

また、現生生物の骨格を数多く見てきた山本先生ならではのアプローチとして、恐竜から進化した鳥や、恐竜と共存した動物たちを観察する時間も作ります。

カナダ最大のカルガリー動物園に立ち寄り、鳥類と哺乳類を中心に、恐竜との違いや、特徴などについて、一緒に考えながら探究していきます。

カルガリー動物園にはカナダに生息する動物を中心に、たくさんの生き物を見ることができますが、日本の動物園ではまだ十分に普及していないアニマルウェルフェア（動物福祉）に配慮した展示にも注目です。

先進的な動物福祉の考え方に触れることで、未来を生きるお子さんの、人間も含めた動物や植物、化石種を含めた生物と環境を考えるよい意識付けの機会になると思います。

今回のツアーでは、恐竜だけでなく、その周辺の魅力的な自然フィールドにも訪れます。

世界最大の恐竜化石層と呼ばれるアルバータ州の一帯は「バッドランド」とも呼ばれます。悪地や荒れ地といった意味ですが、乾燥して植物があまり生えないために、白亜紀を含めた地層が露出しており、それが世界的な化石発見にもつながっています。

現地では、自然景勝地として有名なホースシーフキャニオンを訪れて散策する予定です。剥き出しの地層と荒野が広がる光景は、どこか別の惑星を訪れたような不思議な光景です。

また、自然の作り出した奇跡とも言える「フードゥー」という奇岩群も訪れます。

長い時間をかけて、侵食を繰り返した結果、硬い岩盤の下にある地層だけが残って土柱を形成したもので、悠久の地球の歴史を体感できます。